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相続問題Q&A

相続一般について

相続とは何ですか?

 相続とは、ある人(「被相続人」)が死亡したときに、その人の財産に属した一切の権利義務(財産法上の地位)を、他の人(「相続人」)に承継させることをいいます(民法896条本文)。
 すなわち、相続は財産法上の地位の承継ですから、土地や建物の所有権のような、具体的な権利義務だけでなく、契約申込者の地位のような、権利義務として具体的に発生するに至っていない財産法上の法的地位も相続人に承継されることになります。
 もっとも、生活保護受給権や扶養請求権のような、被相続人の一身に専属した権利義務は、相続人に承継されません(民法896条但書)。

相続にはどのような種類がありますか?

 相続には、法定相続と遺言相続との2つがあります。
 法定相続とは、被相続人の財産法上の地位の承継が、法律の規定に従ってなされるものをいい、遺言相続とは、被相続人の財産法上の地位の承継が、被相続人の最終意思(「遺言」)に従ってなされるものをいいます。
 被相続人が遺言を残して死亡した場合、原則として、その遺言に従って被相続人の財産法上の地位が承継されます。すなわち、遺言相続は、原則として、法定相続に優先する関係にあります。

相続はいつ開始しますか?

 相続は、被相続人の死亡時に開始します(民法882条)。すなわち、生前相続は、現行法上、認められていません。
 相続開始の始点となる「死亡」には、自然死亡だけでなく、いわゆる失踪宣告制度(民法30条~)による擬制的死亡や認定死亡(戸籍法89条)も含まれます。
 ここに、失踪宣告制度による擬制的死亡とは、ある不在者の生死不明の状態が継続した場合に、その不在者の従来の住所を中心とする法律関係を確定させるために、家庭裁判所の宣告により、その不在者を死亡したものとみなすことをいい、認定死亡とは、震災、火災、戦争などの事変により死亡が確実とみられるが死体が確認できない場合に、その調査に当たった官公署の報告に基づいて、戸籍に本人死亡の記載を行なうことをいいます。

相続はどこで開始しますか?

 相続は、被相続人の住所において開始します(民法883条)。
 住所とは、「人の生活の本拠」(=人の生活関係の中心である場所)をいいます(民法22条)。
 住所が知れないときは、「居所」(=人が多少の期間継続して居住するが、その土地との関連の度合いが住所ほど密接でない場所)が住所とみなされますし(民法23条1項)、また、日本に住所を有しないときは、原則として、日本における居所が住所とみなされます(民法23条2項)。
 相続開始の場所は、相続問題について紛争が生じたときなどに、裁判管轄を定める基準として機能します。

相続の承認・放棄について

相続人は、相続を拒否できないのですか?

 民法は、被相続人の財産法上の地位を承継するか否かについて、相続人の意思を尊重し、選択の自由を認めています。
 すなわち、民法は、相続人に対して、被相続人の財産法上の地位の承継を全面的に拒否する相続の放棄(民法938条~)と、被相続人の財産法上の地位の承継を受容する相続の承認とを認めています。
 なお、相続の承認には、単純承認(民法920条~)と限定承認(民法922条~)とがあります。単純承認とは、被相続人の財産法上の地位の承継を全面的に受容することをいい、限定承認とは、被相続人の財産法上の地位の承継を相続財産の限度で責任を負うという条件付きで受容することをいいます。

相続の承認・放棄は何時から何時までできますか?

 相続の承認・放棄は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にしなければなりません(民法915条1項本文)。相続人は、この3か月の期間(「熟慮期間」)内に、相続財産の内容を調査して、相続を承認するか放棄するかを決定しなければならないのです。この熟慮期間内に相続放棄の申述をしなければ,相続放棄ができないこととなり、相続を単純承認したものとみなされてしまいます(民法921条2号)。
 なお、相続人が未成年者や成年被後見人であるときには、その法定代理人が未成年者や成年被後見人のために相続の開始があったことを知った時から起算されます(民法917条)。
 もっとも、相続財産の状態が複雑で、調査その他の都合上日数を要する場合などには、家庭裁判所に熟慮期間の伸長を求めることが認められています(民法915条1項但書)。

相続放棄をしたら、どうなりますか。

 相続放棄をした相続人は、初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)。その効果は、絶対的なものであり、通知や対抗要件(登記など)等の具備を要せずに、何人に対しても、その効果を生じると解されています(最高裁昭和42年1月20日判決参照)。
 したがって、相続人が相続放棄をした場合には、他の共同相続人の相続分が増加したり、新たに相続人となる人が現れたりすることになります。
 なお、相続放棄をした相続人は、新たに相続人となった人が相続財産の管理を始めることができるまでは、自己の財産におけると同一の注意をもって、その相続財産の管理を継続する義務を負います(民法940条1項)。